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稼働状況見える化に向けたステップ&精密測定機器選定・見直しポイントを解説

「これからの製造現場に求められる、精密測定機器の稼働状況『見える化』」で、稼働状況見える化の重要性やメリットについてお伝えしましたが、いざ取り組むとなるとどのようなステップで進めていくべきか迷うものです。そこで今回は、精密測定機器のIoT化に向けたステップや機器の選定ポイントを解説します。

ファーストステップは測定工具のデジタル化から

IoT化を進めるというと、新しい精密測定機器や通信ソフトの導入が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、実はファーストステップとしてまず取り掛かるべきことは「測定工具のデジタル化」で、たとえばノギス一本やマイクロメータ数個などの測定工具をデジタル出力可能な物に置き換える ことからスタートすることができます。

まだデジタル化ができていない工場では、ノギスで測定し、測定データを手書きで記録する運用をしていることでしょう。これをデジタルノギスに置き換えることで、測定データを自動でPCに飛ばせるようになり、IoT化の第一歩になるからです。

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アナログ工具で測定

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測定結果を手書きで記録

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記録データをパソコンで入力

すべての測定を三次元測定機などに置き換えて、通信ソフトを導入することで、一気にIoT化を進める方法もあります。しかし、機器で測るよりもノギスで測る方が早く手軽に測定できるケースは多くあります。さらに、三次元測定機の測定プログラムを準備するだけで時間が掛かってしまうため、生産個数がそれほど多くない部品を測定する場合には費用対効果が見込めません。そのような場合には、ノギスやマイクロメータなどの測定工具のデジタル化から取り組むことが効果的なのです。

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デジタル測定工具で測定

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結果をすぐにサーバーへ送信

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作業現場と情報共有

さらに、IoT化の目的として業務効率化や工程改善がある場合、測定データを自動でPCに飛ばすだけではなく、「測定にどれくらいの作業を要しているか」を測る必要があります。

こうしたニーズがある場合には、デジタルノギスを導入した上で、カメラを設置してプログラムを組むことで、「ノギスで1つの部品を測る工程に何秒掛かっているか」を計測し、記録するといったことも可能になります。

まずはノギスのデジタル化から取り組むのが合っていると思われた方は、「ノギス Bluetooth」「ノギス ワイヤレス」などのキーワードに該当する、デジタルノギスの導入から始めることをおすすめします。

精密測定機器の選定ポイント

「ノギス1本のデジタル化」が、精密測定機器の稼働状況見える化の第一歩という前提を踏まえた上で、次に精密測定機器を導入する際に意識したい選定ポイントを解説します。

まず、当たり前ですが対象物(何を測るか)によって最適な測定機器は異なります。対象物が何かによって、測定範囲や要求精度が決まるため、それらを満たせる精密測定機器を選ばなければなりません。

精密測定機器を選ぶ上で注意したいのが、「測定範囲」です。機器ごとに測定可能な範囲が定められていますが、測定する対象物の形が特殊な場合や、横向きや斜めなど独特な向きで測定を行わなければならない場合には、測定の際に動くアームやプローブの動きに制限が出てきて測定できる範囲が狭まってしまい、「測定範囲は500ミリと定められているが、実際は450ミリまでしか測れない」など、メーカーカタログ記載の測定範囲通りに測ることのできないケースがあるからです。

この測定範囲の罠は、意外と見落とされがちです。「工場のレイアウトを決めた後、メーカーと細かい仕様についての打ち合わせを行う段階で、導入予定の精密測定機器では対象物を測定できないことが発覚。精密測定機器の大きさを変更しなければならないために、工場レイアウトからやり直しに」といったケースもよく聞かれます。精密測定機器導入時には、測定対象の大きさだけに意識を向けがちですが、「対象物をどのように固定して測るのか」といった測り方もあわせて考える必要があります。

そして、IoT化を進める上では「通信に対応している」ことも、もちろん重要です。これは、精密測定機器に限らず、デジタルノギスなどを導入する際にも確認すべきポイントです。

「全体最適」となるよう、見える化を進めていくために

稼働状況の見える化を進める上で覚えておきたいのは、精密測定機器1つだけをIoT化してもそれほど意味が無く、はじめのステップが「ノギス1本のデジタル化」だとしても、測定が必要な工程全体や工場全体の見える化をあらかじめ意識した上で進めていかなければならないということです。

こうした前提の上で気を付けたいのが、精密測定機器に対応している通信ソフトの種類です。製品によっては、「他社の通信ソフトには対応できない」ものもあります。それでは、工場全体のIoT化を進める上で制限が出てきてしまうので、幅広いソフトに対応した機器を導入する方が、汎用性が高く便利でしょう。

現在の一番の課題は何なのか、どのステップで見える化を進めていくべきかを見極めた上で、しっかりとポイントを押さえて精密測定機器を選定していくことが重要になります。

モリタなら、貴社の現状や課題をヒアリングした上で、測定工具のデジタル化や精密測定機器のIoT化のご提案を差し上げます。また、商社ゆえにメーカー・SIer両方とのリレーションがあるため、パッケージ・スクラッチどちらの提案も可能であるなど、要望を伺いながら柔軟なご提案が可能です。

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さらに、精密測定機器にとどまらず、製造現場全体のIoT化もオールインワンでご支援可能です。

「精密測定機器のIoT化はA社」、「別の機器のIoT化はB社」と打ち合わせが分散することもなく、すべてお任せいただけます。製造現場の業務改善や生産性向上を目指す方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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